今のわたしは、自分にとって大切な誰かが死んでしまっても悲しくない。
人はいつか死ぬものだと、死ぬってことはその人が生きた証だと、
いつの日だったか、諦めにも似たような、それでいて納得したときの
妙に清々しい気分になって「悟った」感覚を味わったことがある。
だから、きっと泣かないし、取り乱したりもしない。
そんなの故人を責めてるみたいじゃない。
かと言って、気丈に振舞ったりもしないだろう。
淡々と、いつものように空を仰いで送り出す。
許されるなら、少し微笑んで、「おつかれさま、ありがとう。またね」って言いたい。
たとえ短い命だったとしても、それは運命であって、誰にも変えることはできない。
誰ひとりとして神さまに逆らっちゃいけないんだ。
もう二度と会えなくなったとしても、静かに受け入れるしかない。
だってまだ、置いていく側にはなれなさそうだから。